弁護士の佐藤です。
先月25日(土)に石川県金沢市にて開催された「平成28年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会」に参加させていただきました。
http://nichiju.lin.gr.jp/topics/topic_view.php?rid=2788
具体的には、シンポジウムにおいて、「猫の里親ボランティアをめぐるトラブル事例と終生飼養義務について」というテーマで講演をいたしました。
猫の里親募集団体から、里親として最後まで添い遂げるように見せかけて、譲受後に処分する悪質な事例が問題となった有名な裁判例(「捨て猫返還訴訟」)を題材に、法的な観点から動物の所有者の終生飼養義務の確実な履行のための提案をしました。
終生飼養義務とは、平成24年に行われた動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動愛法」といいます。)の改正(平成25年9月1日施行)により、動物の所有者は、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(終生飼養)が明文で義務付けられた(動愛法7条4項)ことを指します。
里親募集団体も猫が上記のような被害に遭わないよう、慎重に里親候補を選定していますが、なお対策が必要な部分は残っているように思います。
講演後のご質問の内容は、上記の悪質な処分行為と知らずに猫をさらに譲り受けた者へも返還請求ができるのかという点が多かった印象です。
回答としては、即時取得制度(民法192条)の内容と現状を説明させていただきました。
今回は、獣医師という全く異なるフィールドでご活躍されている先生方の前でお話をさせていただくという、非常に貴重な経験となりました。
人生初の金沢だったので、時間を作って少し観光もできました。
今後は、地方遠征を伴う講演等にも積極的に参加していきたいです。